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懐かしうつくし貝細工: 金子コレクションを中心に(P)


特展圖錄/大田区立郷土博物館/2012/21x30/日/127P/彩色圖版261幅

 海に囲まれたわが国では、貝は身を食べるだけでなく貝殻も長きにわたり利用してきました。時代を遡ると、大森貝塚からは装身具の貝輪や、貝の紅皿、鱗取りに使われたであろう貝刃などが出土しています。
貝殻は加工し易い素材であることに加え、多様な形や色の貝もあり、魅力のある工芸素材として使われ続けてきました。虹色に輝く貝片を漆工芸に用いた螺鈿は、優美な美術工芸品です。その螺鈿の陰で見落とされがちな細工物の中には、貝の形をとどめた様々な貝細工の存在がありました。
 これらの貝細工は江戸時代の大見世物や、江の島弁天や羽田穴守稲荷の参詣土産として親しまれてきました。貝細工の見世物は、菊で菊人形を作るように貝で人物花鳥を作ったもので、様々な色彩と輝きを巧みに組み合わせた奇想天外な細工物は、当時の町民に人気を博したそうです。
寺社や観光地土産の貝細工は今では懐かしの品々となりましたが、そうしたノスタルジーな世界と、美術工芸品としての貝細工、出土品の貝細工など、様々な貝細工の世界を、今回の展示でご紹介します。

NT$ 780